「星野さんたち、プール掃除だっけ?お疲れさま」


遥斗くんが笑ってくれて、どんどん胸があつくなる。


「うん。…遥斗くんは?」

「俺は数学の課題忘れてて。ちょうど終わったとこ」


それを聞いて目を動かせば、彼の机にノートと問題集が開かれているのが見えた。


「遥斗くんも、お疲れさま」

「ありがとー。プール掃除どうだった?」

「あっ、意外と楽しかった…かも」

「楽しかったんだ」


ははって、遥斗くんはおかしそうに笑う。

教室の窓から差し込む夕陽。それに照らされた彼の顔がちょっと赤く見える。


「ってか、なんでプール掃除?」


首を傾げた遥斗くんに「岡野先生に怒られちゃって…」と、今日何度目かの説明をした。

すると彼はガタっと立ち上がって、私との距離を詰めてくる。