きみのへたっぴな溺愛

…岡野先生だ。

振り向いた先に、今日は白いジャージを着ている彼女がいた。

あちゃーーー。と思っても時すでに遅し。


眉間に深い皺を刻んだ岡野先生が私の前に立つ。

見下ろされてしまっては、もう逃げれない。

今からなにを言われるのか、なにが起こるのかを察して覚悟を決める。


「スカート何回折ってんの?」


…ほら、きた。


「3回です…。ごめんなさい」


震えた声が出る。のと同時に、着ていたグレーのベストがペラっと捲られる。


「直しなさい。今ここで、すぐに」


ってスカートを掴まれてコクコクと頷く。

怒鳴っているわけではないけど、トゲトゲしい言い方と冷たい視線が怖い。

冷や汗が背中を伝うのがわかった。


「すみません…でした」


折っていたのを全部戻して、頭を下げる。

ゆっくりと顔を上げれば、険しい表情を崩さない岡野先生と目が合う。


「リップも派手なのつけてるわね。あなた今日の放課後、プール掃除に来なさい」

「…え?」

「返事は?」

「はいっ」