きみのへたっぴな溺愛



翌朝。買ったばかりのグロスをつけてみたら、思いのほか発色が良くて感動した。

ピンクとオレンジが合わさったような綺麗な色。

パッケージ通り…というよりも、それ以上に明るいかもしれない。

くっきりと色づいた唇は自分のじゃないみたいで、なんだかテンションが上がる。


…あとは、どうしよう。

ひとまず見た目から変えたくて、スカートを折ってみる。

いつもは1回だけど、もう1回。

…あんまり変わらないかな。

もう1回折ってみたら、短くなりすぎちゃった……?

でも、みんなこのくらいな気がする。って、未緒やまりや、クラスの女の子たちを思い出す。

スカートは短い方が可愛いよね?と鏡の前で自問自答して家を出た。


朝の8時。いつも通り、のんびり歩いて登校する。

だけど、少しスースーする唇とか、足元とか。

ソワソワしながら高校に着いて、昇降口から教室に向かおうとした時。


「ちょっとそこのあなた」


1階の廊下で引き止められる。

低くて圧のかかるような声にギグッとした。