「夜ご飯…だよね?」

「うん。俺の両親、今関西に出張行ってて。ひとりなんだよね」

「そうだったんだ」



よく考えずに聞いてしまい、プライベートなことを答えさせてしまった。

少し申し訳なく思って、何か話題を…と考えを巡らせる。


「そういえば、夜遅くまでゲームしてるの?」

「えっ?なんでそれ…?」

「ふふっ、夏生くんが言ってた」

「あーあいつ…」



遥斗くんはムッと口を尖らせながらも、楽しそうに「そうそう」と頷いた。


視界の端で青信号が点滅している。

横断歩道の手前で足が止まり、会話も途切れてしまった。

マンションまではあと少し。
せっかくだから、と理由をつけて口を開く。


「遥斗くん、質問してもいいですか…?」

「うん。いいですよ?」

「ありがとう。あの……」


ドキドキしつつ、彼を見上げた。

綺麗な横顔が街灯に照らされている。