「うん。あー、なんて言うんだろ?遥斗くんはもちろんカッコいいなとは思うけど。普通にそれだけ…みたいな?」

「そう、なんだね。ごめんね、急に!」


「本当ごめんっ」と平謝り。

よく考えてみれば、そうだ。

遥斗くんはモテるだろうけど、全員が全員、恋愛感情を抱くわけはない。

先走った考えを口にしてしまったと、後悔に襲われる。

彼が絡むと冷静さがそぎ落とされてしまう。


「いやいや、こっちこそ。いきなりごめんね」

「ううん…」


首を横に振る。でも。


「どうしてわかったの…?」

「ん?だって座る時ぎこちなかったし。あ、あと自習の時の遥斗くんを思い出して」

「自習の時の遥斗くん…?」


ってなんだろう?

パッと思い浮かべたのは、まりやと楽しそうにお話しする彼と、それから、夏生くんに何かを伝える彼。



「遥斗くんも衣織と同じくらいわかりやすいよね」

「わかりやすい…?」


さっきから、まりやの言いたいことがわからずに、彼女の言葉をなぞるだけ。

そんな私を気にすることなく、まりやは続ける。