先生がいないからか、しばらくテストがないからか、教室には話し声が溢れている。

それでも、そこそこの進学校だから普段の授業中は静かで、みんな頭が良いのだろうな…って思う。


「…はあ」


遥斗くんとまりやちゃん、何話してるんだろう。


「どうしたー?暗い顔して」

「…え?あ…」


声のした方を見れば、夏生くんが「んー」と伸びをしていた。

……そして、自分がため息をついていたと気付く。



「おはよう、夏生くん」


彼の言葉には触れずにそう言ってみる。

自習ってわかった途端に夏生くんは机に突っ伏していた。



「はよー。ふぁ、よく寝たわ」

「昨日寝たの遅かったの?」

「うん。何時だっけな、4時とか?」

「4時?」


驚いて、聞き返してしまった。

それはもう昨日じゃなくて今朝で、早い人なら起きる時間だ。


「そう。遥斗と通話しながらゲームしててさ」

「そうなんだ!」


遥斗くんゲームするんだ。何のゲームするんだろう…ってすぐ気になっちゃう。


「衣織ちゃんは寝るの早そうだね?」

「うん。日付が変わる前には寝る…かな」