「その…えっと…」


咄嗟に俯く。

ここで否定するのもヘンだし…でも続きの言葉が見つからない。

どうしよう…。とキュッと拳を握った時「それ、ほんとう…?」と小さな声が降ってきた。


「う、うん。本当だよ」

「嬉しい。ありがとう」


ゆっくりと視線を遥斗くんに向けたら、バッチリと目が合う。

柔らかく目を細めた彼に、私もそっと笑った。


「星野さん、バスケ上手だね」

「えっ?や、そんな…」

「可愛かったし…」

「っ…」


ぶんぶんと首を横に振る。

可愛くないっ…し、バスケも上手じゃない…よっ…。


「そんな否定しなくていーのに」


アハハッて遥斗くんは楽しそうだけど、それどころじゃなくて。

可愛いってなんだっけ…。


それより…バスケ!バスケの話をしよう。

動揺を隠せずに「えっ…と」とどもりながら、話し出す。


「バスケ1回でも勝ててよかったよね、本当に」

「うん。女子も2回戦惜しかったね」

「そ、そうだよね。やっぱり3年生は強かったなあ…」

「あー、ね。ひとりすっげー素早い人いたし」



そのことを思い出してか、遥斗くんの口角は少し上がっていた。

それからはバレーやサッカーの話題になり、C組が好成績を収めたこのふたつについて話す遥斗くんに相槌を打っていた。