視線を遥斗くんに戻す。

彼の肩を夏生くんがポンポン叩いてるように見えて、慰めている…感じがした。

遥斗くんはわずかに俯き加減で、その表情は見えない。


がんばれっ。

心の中でそっとエールを送る。

遥斗くん、すごく気合いが入っていたみたいだし、きっと負けず嫌いなんだ。

じーっと見ていれば、審判の合図で彼らは整列する。

試合開始。それを表すホイッスルがピピーッと鳴った。



「「「キャーーーーッ」」」


オレンジ色のボールがフワッと宙を舞うのと同じタイミングで、歓声が響き渡る。

体育館の中は一瞬にして色めき立った。


「遥斗くーーん」「キャーーー」
「頑張ってえええ」


ピクッって肩が上がってしまうほどの、大きな声援。

…す、すごい。

驚いたのは私だけじゃなくて、遥斗くんも一緒だった。

足を止めてキョロキョロと上を見上げている。

口がポカンと開いていて、困惑したその顔はちょっと…かわいい。