きみのへたっぴな溺愛

「大丈夫……?」


心配になる。

無理矢理笑ってるとか、強がってる素振りはないけど、少なからず心を痛めていると思うから。


「大丈夫だよ。今話しただけで、スッキリしたし」

「…そっか」

「なんかさ、おかしいよね。付き合えて嬉しかったのに、それと同じくらいすぐ不安になって」

「おかしくないよ…」

「衣織は優しいね、ありがと」


ふるふると首を横に振る。

私は交際経験がなくて、未緒の気持ちを全部わかってあげられるわけではないけれど。

好きな人が他の女の子と仲良くしていたら、誰だって不安にも、むかっともなるよね。


でも、それで別れちゃって良いのかなあ…って思ったりもする。

彼女の声のトーンからして、多分本気だ。


斎藤先輩は2年生のサッカー部に所属している人で、未緒の「めっちゃタイプ」な人だったみたいだ。

SNSで何度かメッセージのやり取りもしていたらしく。未緒の積極的な姿勢はすごいなあ…と思っていた。

と同時に、私が消極的なのかもしれないと密かに頭を悩ませているけど、それは一旦置いといて。