「頑張ろうね!」


精一杯の想いを言葉に乗せた。


「…もしさ、俺が勝ったら……」

「うん…?」


視線を逸らした遥斗くん。

その頬が微かに赤い気がする。

今日、暑いもんね。
私の頬だってきっと真っ赤だ。


「や、ううん。なんでもない」

「…」


なんでもない。と言われると気になってしまって、勝ったら…の続きを探す。


「あ、遥斗くんが勝ったら、私も勝てる気がする」

「え?」


思いついたまま言ったけど、ものすごくトンチンカンなことを言ってしまった。


「な、なんて。男子の方が先だから、えっと、まずは応援…頑張ろうかなって。それで、私も…頑張る、ね」


とにかく頑張るを連呼した。

遥斗くんと話せるのは嬉しいのに、緊張してわけがわからなくなる。



「ありがとう。勝ってくるね」

「うん」

「ん」

「…え?」


小指が差し出される。
これは、つまり……指切り?


「約束。勝つから、絶対応援して」

「はい…」


流されるように手を動かす。

絡んだ小指は、じんわりとあつかった。