「やっぱり、いつも通りでお願いします…」

「ふふっ。はーい。じゃあ切っていくね?」

「お願いします」


それを合図に華麗な手つきで私の髪を操るジュンさん。

チョキチョキ。

ジュンさんからの質問に答えていれば、どんどんと髪は軽くなっていく。


…鏡をぼんやりと見ながら、遥斗くんとデートした時のことに想いを馳せる。

彼の隣を歩いていたら、チラチラと女の子の視線を感じたのは気のせいじゃないはず。  

それがどうしても、少し気に掛かってしまう。

もっと遥斗くんの隣を堂々と歩けるようになりたいな……。

そんな思いでパサパサと下に落ちる髪の毛を見る。

新しい自分になれるみたいで胸が弾んだ。




「どう?こんな感じ?」

「ありがとうございます」


気持ちのいいシャンプーを終えて、髪を乾かしてもらうと、セミロングへと戻った自分が鏡に映った。

見慣れた姿は落ち着くし、自分らしさのひとつだと思える。