ブーブーブーとスマホのバイブ音で目が覚める。

もぞもぞとしながら腕を動かして画面を見れば、6時のアラームが鳴ったと理解した。

重たい瞼をパチっと、体をガバッと持ち上げてベットを飛び出す。

林間学校も終わり、夏休みが折り返しに入ろうとしている今日。

遥斗くんとデートの日。


昨夜は目を閉じてもソワソワしてなかなか眠れず、まるで遠足の前日みたいだった。

少し寝不足だけどそれ以上に楽しみだから「よしっ!」と気合を入れる。


お母さんは夜勤でまだ帰ってきていない。

その間に洗面所を占領して準備をしよう。

シャワーを浴びて髪の毛を整え、まつ毛を上げたり…。


たくさん悩んだ挙句に決定した紺色ドット柄のワンピースは変じゃないかな?

未緒とまりやは「似合ってる」と言ってくれたけど、ちょっとだけ不安になってしまう。

久しぶりにコーラルピンクのグロスをつけて、家の中をあちこちと動き回っていれば、待ち合わせの時間は迫ってくる。


9:50。
忘れ物がないことを確かめて家を出た。

10分前は早い?と思いつつも、足が動く。

エレベーターの中で深呼吸をいっぱいして、エントランスに着いたら。


「おはよ」

と笑う遥斗くんがいた。