それは遥斗くんも同じだったのか、「そうだ!」と急に明るい声が耳に届く。


「あのっさ……今度デート…しない?」

「デート…したいっ」

「う、うん…」


お互いに大きく頷き合えば、ふたりしてふっと吹き出してしまった。


「私もデートしたいと思ってた…」


正直な思いが出てくる。


「ほんと?よかった、俺も…」


遥斗くんがホッとしたように短く息をはいた。

小さく深呼吸をすれば、心が少しづつ落ち着きを取り戻す。


「じゃあ…行きたいとことかある?」

「行きたいとこ……」


どこだろう?と考えようとするけれど、頭はまだ回らずに黙り込んでしまった。

ははっと優しい笑い声が沈黙を吹き飛ばす。


「また考えよっか。俺も考える」

「うん。ありがとう」


嬉しい。その気持ちを込めて頷く。

デートできることも、次の約束があることも、目の前の綺麗な景色も。

嬉しくて、幸せだと思う。


「遥斗くん…月が綺麗だね」

「ん?うん。月も星も…ぜんぶ綺麗」


視線を上にやってポツリと呟く遥斗くん。

満点の星空も輝く月も素敵だけれど。

私の目がいくのは、どうしても彼だった。