その様子を見ていると、だんだん心が落ち着いてきて、ワクワクが大きくなる。


「あそこにね、展望台があるんだって」

「じゃあバレないうちに行こっか?」

「うん……っ!」


頷いたのと同時、手を掴まれた。


「……いい?」

「うん…」


宿泊施設のホテルを後ろにしてゆっくりと歩き出す。

繋がれた右手がじりじりと燃えるようにあつい。


暗がりの中を進んでどのくらい経っただろうか。

多分、5分もかからずに展望台に着いた。

遥斗くんに手を引かれるままベンチに腰を下ろせば、私たちの距離が一層近くなる。

…手が離れないことに、安心感と満足感と少しの緊張感と…。

…ダメだ。カンカン思いすぎて、よくわからない。

感極まって泣いちゃいそうだ。


「じゃあ、いっせーのーで上向こっか」


私を覗き込んだ遥斗くんが笑う。

多分ふたりとも、無意識のうちに空を見上げないようにしていたから、上を向くのが少しドキドキしてしまう。

「うん」と頷いたのを合図に「いっせーの…」と遥斗くんが口を動かした。

パッと顔を上げる。