〈部屋出れそう。衣織ちゃんは?〉


手にしていたスマホがパッと明るくなって、その文章が表示された。

送信主はもちろん、遥斗くん。


〈出れる!1階のエレベーター前にいるね!〉


そう返信して、「行ってきます」と未緒とまりやに声をかけた。

事情の知っているふたりは「行ってらっしゃい」とニヤニヤしている。


「あたしたちは懲りずに恋バナしてるから」
「先生に見つからないようにね」


その言葉に頷いてそーっと部屋を出た。

足音を立てないように廊下を進む。

点呼が終わって15分が経っている今、先生たちはもう1つ上の階の後半クラスを見回っていると予想できる。

だけど、もしものことを考えて慎重にいく。

そろりそろりと西側のエレベーターに乗り込みホッと息をついた。


『ここ、夜すっごい星が綺麗に見えるんだよ!運がよければ流れ星も!彼氏と見たら素敵じゃん?』


そう教えてくれたのは、リカちゃん。

成り行きで一緒に野菜を切っていたら、リカちゃんと話すことになって、ちょっと驚いた。