「呼び出しかあ。参ったな」


そう言いながらも、席を立つ夏生くん。

呼び出しっていうワードに私の耳もピクリと反応した。

女の子かな?と気になってしまえば、欲求には抗えず。それは未緒も同じだったらしく、後ろのドアをガン見している。

チラッと見てみたら。



「お待たせー…って、お前かーい」

「悪い。呼び出して…」



照れたように頬を掻く遥斗くんがいた。

ちょこんとドアから顔を覗かせてる。


……なにやってるんだろう?


不思議に思いながら見ていれば「もう用済んだ」って、夏生くんが席に戻ってきた。


「秒で戻ってきたね」

「うん。未緒ちゃんも一緒に話そー」

「ちょ、夏生、待って」


夏生くんを追いかけるように遥斗くんがこちらまでやってくる。


「なに勝手に終わらせてんだよ」

「逆に聞くけど遥斗はなに始めてんの?わざわざ呼び出してくれたところ悪いけど、オレ、衣織ちゃんと未緒ちゃんとガールズトークす「ちょっと夏生借りるわ」


夏生くんの声を遮った遥斗くん。

そしてふたりはこの場から何歩か離れた。

遥斗くんの腕が夏生くんの肩に回る。