「相手が誰かはわかんなかったけど、衣織ちゃんは確かだわ」

「……」


放心状態のまま、目が自然と動いて衣織ちゃんを捉える。

…あ。

彼女はリカちゃんと楽しそうにお話ししていた。

珍しい…というか、意外な組み合わせだ。


「衣織ちゃんに告白するなんて、そいつすごいな」

「おー。俺も驚いたわ。もしかして遥斗と付き合ってること知らないんじゃね?」

「やー、それはなくね?」


半ば俺は置いてけぼりにされつつ、夏生と和田が会話を続ける。


「うーん。遥斗も衣織ちゃんも学年どころか学校の有名人だしな」

「となると、付き合ってるのを信じてない…とか?」

「あっ、それは俺も思うわ。ふたりって教室でもあんま喋ってなくね?」


急にじぃ…っと和田に覗き込まれた。

耳をすり抜けそうになる言葉を、慌てて止める。


「えっと……、喋りたいけど緊張する」

「「…」」


え、なにその顔。

和田も夏生も「は?」って顔に書いてある。