「いや、俺さあ……昨日見たんだよ」

「見た?なにを?」


誰かに聞かれたら困る話なのだろうか。

和田は周りを気にしているみたいだ。

と言っても、ここには和田と夏生と俺の3人しかいない。


言いにくそうな和田を見て、一応身構えた。


「女子フロアに行く途中の階段で、衣織ちゃん……告白されてたぞ」


「え、こっ、告白!?」
「え、お前女子風呂行ったの?」


ポツリとおとされた和田の言葉のあとに、俺と夏生の声が重なった。



「ばっか、女子風呂じゃなくて女子フロアだよ」

「女子風呂って聞こえたわ」

「さすがに女子風呂に行くわけねーだろ」

「女子フロアには行ったんだ?」

「…ちょっとな」

「やるねぇ〜」

「やめろよ、照れんだろ?」


俺の隣で顔を赤らめはじめる和田と、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべる夏生。

そんなふたりを交互に見て、俺は固まる。

なに、こいつら…。

いや、それよりも。

女子風呂だとか女子フロアだとか聞こえたけど、その前にとんでもない爆弾が落とされたような……。


「…え、今…告白って言った?」


ようやく少し掠れた声が出る。

和田は「そーそー」と呑気に頷いた。