「決まったのはさっきなんだけど」 

「さっき?林間学校マジック?」


まりやが目を輝かせたのがわかった。


「マジックかどうかは分からないけど…。自販機に行った時に偶然会って。話しかけられて、気付いたらデートする約束してた」

「わーお、すごいね」

「う、うん…すごい…」


というよりも、びっくり。

未緒をデートに誘うって…。

隼人はつまり、未緒が好きなんだ。

へえ、あの隼人が。未緒を…。

なんだか胸の奥がくすぐったくなる。


「衣織、水瀬くんと小中高一緒なんだっけ?」

「あ、うん。でも仲良し…ってわけじゃないよ?悪い人ではないから、デートは安心して大丈夫だと思う」


「悪い人ではない、だって。良かったね、未緒」

「…からかってる?」


む。と口を尖らせた未緒のほっぺが、ほんの少し赤い気がする。

いつも冷静な彼女からは珍しい表情。

可愛いなあと思っていたら。


「それより、衣織は?遥斗くんとデートした?」



再び私のターンみたいだ。