…いけない。

いつまでも突っ立ているわけにもいかず、歩き出した。


「「あ、衣織おかえりー」」

「…ただいま」


部屋に行けば、いつもと変わらない未緒とまりやがいる。

それにすごく安心感を覚えた。

笑顔をつくって、ベッドに腰掛ける。


シングルベッドが3つとテーブルがあるこの部屋はシンプルかつ綺麗で、なんだかソワソワしちゃう。


「私も歯磨きしなくちゃ」


未緒とまりやがしているのを見て、洗面所に向かった。

鏡に映る自分の顔を見る。

結局、半乾きだった髪の毛は自然乾燥となってしまった。

それ以上に、どんよりとしたオーラが滲み出ていることに目がいく。


遥斗くんが告白されているのは、気になる。

非常に気になるけど…、今はせっかくの林間学校を楽しまなくちゃ。

パチンと両頬を叩いて、気持ちを入れ替える。

これが精一杯なの、と心の中で呟いた。