「ごめんなさい」

「ちぇ、即答か」


頷いて、しっかりと川島くんを見据える。


「私は…遥斗くんが、遥斗くんだけが…好きなので…。ごめんなさい」

「…」


川島くんの告白は、あまり本気ではないだろう。

その証拠が“2番目”という言葉。

それでも、きちんと断っておかなければならないと思った。


「へー…まじで望月のこと好きなんだ?」


首を小さく縦に振る。

他の人に言われると、それはそれで恥ずかしい。


「でも、あいつも他の女子に告白されてたよ?」

「えっ……?」

「ってことで、あいつに飽きたらいつでも言ってね?」


「じゃあ」と、川島くんは階段を降りて行った。

開いた口を塞ぎもせず、その背中を見送った。

ポツンとひとり取り残される。


…そっか。

遥斗くん、告白されてるんだ…。

人気があることも、モテるであろうことも十分知っていた。


胸の奥がズッシリと重くなって、キリキリと痛む。

悲しいのか、怒りなのか、嫉妬しているのか…。

多分、全部。
全部がまざってドロドロした感情が渦巻く。


…こんな言い表せない気持ちがあることは、初めて知った。