フロアの端っこ。

目の前には階段があるけど、誰もいなくて静かな空間が広がっている。


「俺、A組の川島…なんだけど、わかる?」

「ごめん…なさい。わからない…です」


正直に言えば、ハハって笑い声が響いた。

川島くんは怒っては無さそうで、安堵のため息を小さくこぼす。


「ねー俺さ、衣織ちゃんいいなって思ってて。俺と付き合わない?」

「………え?」

「ダメ?」

「だ、め…です…」



唐突になんの前置きもなく話し出されて、ポカンとする。

「コンビニ行かない?」という風に、なんとも軽い口調で言葉がふってきた。



「あ、の…ごめんなさい」

「えーなんで?望月遥斗と付き合ってるから?」

「う、うん…」



…あ、知ってるんだ。

違うクラスだし、私と遥斗くんのことは知らないのかと思った。

けど、知っているなら……どうして?


「2番目とかでもいーんだけど?」

「2番目って…」

「どう?」


どうもこうも…。