夏生(なつき)くん」


そこにいたのは山田夏生くん。
いつも元気なクラスのムードメーカー的存在。

…あと遥斗くんとよく一緒にいるのを見る。


「衣織ちゃん隣だよね?よろしく」

「うん。よろしくね」


田中先生は全員が着席したのを確認して「はーい、じゃあ次は」と言った。


先生の声に耳を傾けながら教室を見渡して、遥斗くんの姿を発見。

なんと、教卓の前。
夏生くんの列の1番前に座っていた。


1番前と1番後ろ。遠い。遠すぎる。
けど、仕方がない。
次のチャンスの1ヶ月後に期待しようと思う。

「3週間後にある球技大会の種目決めるから」


田中先生の言葉通り、残りの時間は男女別でわかれ、球技大会の種目決めとなった。 

基本的に1人1種目、バスケ、バレー、サッカーのどれかに出ることになっている。

私はバスケに決定。身体を動かすのは好きだから楽しみだ。


「…あ、そうだ。球技大会の前に中間テストあるから。そっちも忘れないでね」


田中先生がそう言い去ったのを合図に、教室内はザワザワと騒がしくなる。