昨日までゴールデンウィークだったのを思い出す。

ということは…、この高校に入学して初めての席替えだ。


「未緒と離れちゃうかな」

「まぁね」

「さびしい…」

「とか言って、遥斗くんの近くだったらいいなーって思ってるんでしょ?」

「う。それは…」


思ってる…。少し期待しちゃってる自分もいる。


「未緒も近くがいい」

「はいはい。ありがと」

「…なんか緊張してきた」


と言っても、1時間目が始まればくじを引く順番はやってくる。

田中先生お手製のそれを手にして、深呼吸。

ソワソワしちゃう。


「衣織、何番だった?」

「24。未緒は?」

「3。離れちゃったね」



黒板に書かれた座席表と、手元の紙を見比べる。

未緒は廊下側の前から3番目。

私は窓側から3列目の1番後ろ。今の席から横にひとつ移動するだけだ。


「ううっ…元気でね」


未緒の手を握ると「大袈裟だなー」って笑われる。


続々と移動するクラスメイトのみんなを見ていたら、「衣織ちゃんッ!」って名前を呼ばれた。

声のした右隣を見る。