1ーCには当たり前だけど誰もいなかった。

廊下側の後ろから3番目。
名簿順に座った時の遥斗くんの席。

ギィと椅子を引いて迷うことなく腰掛ける。


ドクンドクン。

話し声も物音も、何ひとつ音のしない空間に、自分の心音だけが響く。

遥斗くんが来たら、なにを話そう。


まずは、補習お疲れさまと言って。

本当はね、聞きたいことも話したいことも、いっぱいあるんだよ。

他の人が相手だったら、どうってことないのに。

遥斗くんが相手だと、自然に振る舞えず、ぎこちなくなってしまう。


どうしたらもっと自然体でいられるのかな。


…そんなことを考えながら、ゆったりと瞼が落ちてきた。