通学路の途中には、すでに干からびたセミの抜け殻が落ちていて、それらを避けて進む。


夏休みに入ってから遥斗くんには会っていない。

朝起きた時や、夜瞼を閉じる時。

ご飯を食べてる時や、勉強をしている時。

ふとした瞬間に遥斗くんが浮かんでは、ため息をついた。


連絡してみようと思っても、迷惑じゃないかな…という不安の方が大きくて。

メッセージを打っては消しての繰り返し。

遥斗くんから連絡がくることもなくて、それがまた寂しさに拍車をかける。


…遥斗くんも私と同じ気持ちだったらいいのに…と思ってしまう。

会えないことに痺れを切らして、会いに行ってしまうのは私の方。

…これって一般的に言う重たい女?

あ、そうかも……と自覚したところで、校門前。


来てしまった以上引き返せないし…、引き返したくないから、いざ出陣。

自分から手を伸ばさないで後悔するのは、したくない。
と言い聞かせて、第二視聴覚室まで一直線。

この間と同じように窓からそーっと中を覗いてみる。