手元のノートや教科書を見る真剣な眼差しに目を奪われる。

…いけない、いけない。

頭よ頭。学生の本業はお勉強なの。

そう唱えながら、私も問題を解き進める。


チクタクと。
時計の音は聞こえないけど時間が過ぎて。

ようやく冷静に問題に向き合えそうな時。


ぐぅ。とお腹が鳴った。

は、恥ずかしい…。

咄嗟に俯いて、パニック。

聞こえてない…?といいなあ…と願望を込めて遥斗くんを盗み見る。


彼はなにやらノートにスラスラと書いていく。

…大丈夫だと判断して、安堵の息をもらす。



「…星野さん」

「ん?」

「ん」


ちょん。と唇に触れた感触を、気付いたらパクッとしていた。

瞬きをした先で、遥斗くんがポテトから手を離す。

あ、私ポテト食べてるんだ。って、他人事のようにこの状況を理解した。

塩気がなくても美味しいと頭の片隅で思う。