廊下を進む時も、階段を降りる時も、チラチラと視線を感じた。

つい視線を下に落としてしまう。

けど、横をこっそり見上げれば遥斗くんがいて、たまらなく幸せになる。


高校を出て真っ直ぐに向かった先は、ファーストフード店。

学校でも勉強できるけど遥斗くんの希望でここに来た。

マンションとの中間にあるこのお店は、たまに利用するから、割と落ち着く場所だ。


私はオレンジジュースを、遥斗くんはポテトとコーラを注文して席を探す。

夕方のこの時間は意外と混み合っていて、制服を着た学生やスーツ姿で難しい顔をしている人が多い。


結局、空いていたカウンターの端っこの席に隣り合わせで座った。

向かい合わせも隣り合わせも、どっちみち緊張しちゃうから、いいでしょう。



「えっと…星野さんって、頭イイ…よね?」

「いや、別にそんな…」


反射的に首を横に振れば、遥斗くんはじぃーっと私を見つめる。

確かめるような、探るような目。

上目遣いの破壊力って本当にすごいんだ。
…なんて、心の端で思った。


真っ黒な双眼にハートを射抜かれていたら、ふはって遥斗くんが笑った。