「衣織今日だっけ?遥斗くんと勉強するの」

「あっ、うん」

「大丈夫?勉強に集中できる?」

「が、がんばる…」

「「がんばれー」」


激励を飛ばしてくれる未緒とまりやに手を振って、遥斗くんの元へと向かう。

放課後。

彼は廊下で夏生くんと談笑している。

見慣れた光景なのに、いちいち心臓は大きく反応して、教室の中で足が止まった。


『星野さんが思ってる以上に、星野さんのこと好きだよ』

何時間前かに言われた言葉が脳に甘く侵入して、だいぶ困ってしまう。

けれど、浮かれてばかりはいられず、期末テストまで1週間を切っている。


遥斗くんと私。どちらからともなくテストの話題を出して、一緒に勉強する約束をした。


よし!と。教室を出てすぐに遥斗くんと目があった。


「あ、衣織ちゃーん」

夏生くんが両手を広げたかと思えば、遥斗くんの肩を掴んで、そのまま差し出される。



「遥斗なかなかのおバカさんだからよろしくねー?」

「ちょっ、夏生…」

「ふふっ、わかった」

「う…行こ、星野さん」

「ばいばーい」



ヒラヒラと手を振る夏生くんに「またね」と返して、遥斗くんと一緒に歩く。