「祝福モードでよかったね、おふたりさん」

笑った夏生くんも、そのまま「ゴミ捨てちゃんと行けよー?」と言い残して行ってしまった。


「じゃあ…行こっか」

「あ、うん…。ありがとう、遥斗くん」


ふたつのゴミ袋をひとつずつ持って、美術室を後にする。

外に出るとむわっとした空気を感じる。 

ついこの間梅雨が明けて、気温は日に日に高くなる。


私の頬が赤いのは、気温のせいではないけどね。

遥斗くんとゴミ捨て。

この状況が先週のあの日に重なってしまう。



「…本当、ごめんね。ジャンケン負けちゃったし…、みんなにもバレちゃったし…」



口を開いた遥斗くんは顔を伏せる。

その横顔が美しくてドキリとしちゃう。


「あっ、ううん…全然大丈夫だよ。…どっちも」


ゴミ捨てなんてへっちゃらだし、むしろ遥斗くんが一緒に来てくれて嬉しい。

付き合ってることは、いずれ知られてしまうと考えると、どうってことない。

多分、みんなが受け入れてくれて、ホッとした自分がいる。



「ありがとう…。さっき言おうか迷ったんだんだけど…」

「うん…」

「わざわざ公言する必要もないかなって思ったり…」

「うん…」



ひたすら相槌を打つ。