「えっと……あ、ハンカチ、ハンカチだよね。………はい」

「うっ…。ありがとう…」


遥斗くんは紺色のハンカチをズボンのポッケから取り出して、渡してくれた。

ぼやける視界の中で受け取ったそれを、ありがたく拝借する。

拭いても拭いても涙がでてくる。

小さな子どもになったみたいで、不思議な気持ち。


「あ、あのね…」


落ち着いてきたのを感じて口を開く。


「うん…」


少し強張った、それでも優しい目をした遥斗くん。

再び彼と視線が重なる。



「私、遥斗くんが好きです」




声も足も震えるけれど、この気持ちだけは、ずっと揺るがない。

遥斗くんはパチパチと瞬きをして、目を見開く。


「うそ…」

「うそ、じゃない…よ。昨日ぽろっと言っちゃって…自分でもびっくりして…」


お互いに視線を外すことなく、見つめあったまま。

それがすごく嬉しくて止まらなくなる。