きみのへたっぴな溺愛

「え、あっ、星野さん!?」


後ろで遥斗くんの声がする。

驚いた顔も十分想像できる。

ごめんなさい、遥斗くん。と胸の中で謝った。

本当は直接謝らなくちゃいけないけど、今はそれができない。


走りながら、タンタンタンって自分とは違う足音を耳に入れる。

99%遥斗くんが追いかけてきているのだろう。

そう分かるのに、なぜだか足は止まらない、止まれない。

こんな自分勝手な行動しちゃダメだし、したくないのに。


校舎に踏み入れた足は自然と空き教室に向かっていく。

ひとまず、ひとりになりたくて教室に戻る選択肢は切り捨てた。

両手に持つゴミ箱が重い。

…ううん。胸の奥がズッシリと重たい。

このタイミングで遥斗くんからのお話。
となると、昨日のことだ。絶対に。

やっぱり、すきって言ったこと…だよね?

あのまま流れてくれたら…。


とにかく廊下を走って、端っこの視聴覚室にたどり着く。

はぁ、はぁ…っと。先に体力の限界がきた。

予想通り、視聴覚室の中には誰もいなくて安心する。

とりあえずゴミ箱を置いて、息を整える。