意気込んだはいいものの、星野さんと話すことなく放課後になってしまった。

もともと、普段から彼女と会話が多いわけではない。

その事実が、俺の一方通行の想いを表しているみたいだ。

なんと言う悲しい現実。

だけど、その分俺には得意なことがある。

いつでもどこでも、星野さんを見つけられるということ。

…そう、今みたいに。

一歩間違えればストーカーだが、恋する乙女。ではなく、恋する男子高校生だから仕方あるまい。


星野さんは裏庭を歩いている。

遠目からでも、周りに花が舞うような雰囲気が伝わってきて和む。

って、あれは…!

廊下の窓に張り付くように見下ろす。


「え、怖い…」


俺を見た夏生が何かを呟いた。

それに答える余裕はなくて「行ってくる」と言い残して駆け出した。

「?行ってらっしゃーい」