きみのへたっぴな溺愛

言い返そうと思ったらブチっと切られた。

…言い返すことなんてないけれど。


俺はヘタレだ。

出会い頭に一目惚れしたのも、束の間。

星野さんと同じ高校、同じクラスに舞い上がって彼女を眺めるだけの日々を過ごした。

さらに、家が隣だというスーパーウルトララッキーチャンスはあってないようなもの。

何回か一緒に帰宅したけど、正直それで精一杯。

彼女を前にするといつも心臓が破裂寸前だ。


それでも、もっと星野さんを知りたくて。
近づいてみたいと思うのは止められない。

…実際に近づけている気配はゼロだけど。

席だって遠いし。

おまけに、彼女には幼なじみの水瀬くんがいる。

彼女はきっと彼が好きだ。

勝ち目もゼロに近いだろ。


本当は球技大会で水瀬くんに勝ったら、告白しようと思ったりもした。

けど、負けちゃったし…って言い訳をして今日まできてしまった。

だから、それも今この瞬間までにして、ヘタレから脱却しよう。

でないと、いつまでも彼女の周りをさりげなくうろつくゾンビになってしまう。


…ってか、テレビのゾンビはずっと俺のことを見てんな?

一旦ブツっと消して、奴とお別れした。


「はぁー…っ」

吐いたため息は虚しく消えていった。