ぽけーっとしていたら、すぐに教室がザワっとした。

遥斗くんが来たんだ。

人気者の彼はいつも周りに人が集まるから、わかりやすい。

チラリとドアの方を見る。

前のドアにはいなくて、後ろのドア近くに遥斗くんの姿を見つけた。

案の定、男の子たちに囲まれている。

…かっこいいなあ。
つい見つめていたらバチッと目が合う。

う。目を逸らせない。逸らしたくない。

ニッと口角を上げた遥斗くんが小さく口を動かした。



『セーフ』



…?

なんて言ったのかはわからなかったけど、私の心拍数が上がったことだけはわかった。

ドッキドキ。

心音に重なるように本鈴のチャイムが鳴った。