彼は少し驚いていたけれど、わたしの手をゆっくりほどくと、座り直してから「ごめんな、ありがとう」と呟いた。

 それからまたゆっくり、彼とわたしの手を絡めていき、もう片方の手で優しく包み込み、わたしをじっと見つめてくる。私も、視線を外すことなく彼を見る。


 なんてバカな私。秘密の愛なんて、望んでいなかったのに。結局どうしようもなく、彼が愛しい。


 彼とわたしの間で、コペンハーゲンの淡い黄色がキャンドルの光に揺れていた。