すると、
「莉央っ……!」
「莉央何ともないのか?!」
血相を変えたようにリビングから父と母が飛び出してきたんだ。
「え?」
「…本当に、大丈夫なのね?!」
「…なんで、」
「傷は、完治するんだろうな…?」
玄関に立っている私の両肩に父の手が乗せられると、泣きながら隣から覗き込むようにして母が近寄ってきた。
いかにも心配しているような顔。
………え?
なんて思っているのは、余計な気苦労をかけまいと、私は彼らに今日のことをまだ何も言ってなかったからだ。
だから、何も知らないはず。
聞いてくるとすれば、頬や喉元にガーゼが付いていることに関してだろう。だから、私は派手に転んだとか、そういう言い訳をしようと思っていたのに、何故か彼らは知っている。
「傷は残らないだろうって」
「…そうか」
「本当、大したことない」
そう言えば父と母は分かりやすいくらいにホッとしていた。表情は思ったより重くない。ただ安堵したような、そんな顔だった。
だけど……誰なんだろう。
もしかしたら恭平か豪太、美織…それか晄がひっそりと伝えていたのかもしれないって、考えて…、

