BLADE BEAST

「気を許してはいけない"敵地"なんだとか…思ってない」

「…」

「特に絡んだりはしなかったけど、賑やかなあの空間に"属している"……。俺の居場所であるような錯覚さえ覚えていたから」

「…」

「偶に、意味もなく単車で激走するのも中々いい」

「…」

「オカマが酒を飲んだら、"男"になってラリるのも中々面白い」

「…」

「変態だけど聞き分けはいいへんなやつもいる」

「…」

「性格多少歪んでるけど…組織の為の仕事は怠らない頭だって」




眞紘の声が、馬鹿しずかな空間に響いていた。

ハチミツ色の髪を照明によって反射させながら、瞳は真っ直ぐ向こうに向いていた。




「俺はその一員になってみたい思った」

「…」

「協力だってしたい」

「…」

「どっかで騒ぐのもいい」

「…」

「並んでバイクを走らせたい」

「…」

「あとは…なんだろ、」






フッと小さく笑う眞紘。

そして同時に、胸が暖かくなっていった。眞紘が、一歩近づいてきたような気がして。

自分の口から聞かされなかった真実を告げることで、此方に向かってきているようで。