BLADE BEAST

「ま、ひ……」

「…」

「まひ──ろ、……」

「……」




私は手を伸ばした。

中指の先端まで力を込めて、彼そのものを掴もうとするように閉じて、伸ばしてを繰り返す。

私の身体が引き摺られることで、出来ていた小さい血溜まりがアスファルトの上に伸びた。それでもズル、ズル、と前に行こうとする。

震えた口調。涙ぐむ私の瞳。





「…莉央…────」





それに、やっと眞紘は顔を上げて気づいてくれた。


必死に自分のところに来ようとしている私を見て、一瞬だけ泣きそうな顔をした眞紘。



手を伸ばす私。

馬鹿静かな空間。

────矢神のことを乱雑に投げ飛ばし、駆けてきてくれる貴方は私のことを強く、強く抱き締めた。