BLADE BEAST

そんな眞紘に腕を止める矢神。

私も、私の近くにいる手下も同様に息を呑んでいて。



────ゆるりと体制を立て直す眞紘は、また一度だけ私を見てから、静かで猟奇的な笑みを矢神に向けていた。




「…好きなだけやってもらって構わないけど、てめえがぶっ殺される運命は変わらない」

「…あ?」

「さっきから言ってんだろうが。──殺すって」

「……お前、頭沸いてんじゃないの?」




嘲笑するような、意味が分からないというような顔をする矢神に、眞紘はスッ…と鋭い視線を向けた。




「────ああ。沸いてるよ」




それは、ゾクリと背筋が震えるような低い声。

心臓を喰らいつくす獰猛な獣のような殺気。


口元についた血を拭った彼は、ふらりふらりと矢神に近づきながら果てしない怒りを再び露わにした。





「────誰に手ぇ出した……」

「…あ?」

「てめぇのこと、破門にする程度に留めてやろうと思ってたけど…即考えが変わった」

「…何馬鹿げたことを」

「俺が何も知らずに、何の対策も立てずに駆けつけたと思った?」

「……」





「────てめえらの組の運命はもう、現時点で既に詰んでるって言ってんだよ」