「"玖珂"がしてることはそーゆーことでしょ?価値なんてない」

「…」

「だから同盟の証という名の"人質"である眞紘を再起不能にしたら、"玖珂"はこんなことをもうやめて、こっちに実権を渡してくれるかなって思ったんだー」

「……再起不能になんのは、どっちだろうな」

「まだそれ言う?眞紘は何も手出しできないのに?」

「……莉央に手を出したてめえは絶対に許さねぇ」






「────へぇ………」






刹那、男は大きく拳を振りかぶる。

やめて、と身体をばたつかせる私。

眞紘は、私を見たまま一歩も動かなかった。




────響くのは鈍い音。ニヤリと上げられる男の口角。目を瞑る私と、全く動じていないような顔つきをしている眞紘。



嘘だと思いたかった。

全ての行動を悔やんだ。

その時。眞紘の頬には、矢神の拳が大きな音を立ててぶち込まれていた。