眞紘は、時々私を見ながらも自分に近寄ってくる矢神にも睨みをきかせていた。

いつもの口調じゃない、荒々しいそれで。




「分かりたくもないねー。アホらしすぎて」

「……」

「で?あとなんだっけ…、同盟の内容には"宇喜多"の仕事も一部請け負わなくちゃいけないんだっけ?一人で汚いゴミ処理してるんでしょー?使命を全うして偉いねー」

「……死ねよ」

「で?一人西側に送り込まれた気持ちはどう?"宇喜多"の計らいで"G.G"に入れてもらっても心からの仲間が作れない気持ちはどう?」

「…死ね」




私は、その瞬間大きな声で怒鳴りつけたい衝動に駆られた。

けれど咄嗟に肩を動かそうとすれば、手下の男がナイフをチラつかせてその口を封じてくるのだからどうしようもなく苦しくなって。



眞紘がどんな気持ちだったか。

何も考えてなさそうで絶対に寂しかったはずだって。



だってアイツは、熱を出した時に言っていた。

"私しかいない"って。

確かに──言っていたんだよ。