「まさかこんな上手くいくと思わなかったよ。眞紘、夜中でも見回りを欠かさないで警戒してたみたいだけど残念だね」




矢神の言葉に私は目を見開いた。

私が襲われたあの夜、眞紘が偶然通りかかったのもそれを警戒して見回ってくれていたからなのだと、知らなかったからだ。

私が知り得ないところで、彼は私を守ってくれていた?

私が眞紘にとって大事な人って本当?って。





「………殺す」

「やれるもんならどうぞ?」





数メートル先にいる眞紘は、静かに震えていた。

すかさず近寄って私へと刃物を向けてくる手下に、眞紘はまた口を強く結んでしまって。

私のせいだ。私が、早とちりして馬鹿な行動をしてしまったから。

私のせいで、眞紘が大変な目にあうのかもしれないと思ったらまた涙が溢れてとまらなくなった。




「"玖珂"には潰れてほしいんだー」

「……潰れんのはてめえの方だ」

「はっ、言うねえ。ほんとウザい。同盟なんていうつまんないことして、何がいいのか分からないよね。確かに"宇喜多"と組むのは得策だけど、もーちょっと考えれば、こっち側に利益が多く出るような関係が見つかるだろーに。しょーもな」

「……てめえには分からねえだろうな」