「僕、"玖珂"と敵対してるヤクザの良いとこの地位に立ってる人間なんだけどね?やっぱりあそこのやり方がいまいち面白くなくてさー吐き気するくらい"平和主義"でうんざりしてんの」
「……アンタ」
「だってさ?何?同盟って?ただ"人質"送ってるだけなのにさ?それだけでこんな形式的な中立保っちゃって」
「……っ、…」
────夜に溶けるようなアイツの姿。
"寂しい"も、"辛い"も、何も言わないアイツ。
大事な部分はいつも言ってこないアイツ。
儚そうにも見えた。苦しくなった。
────眞紘は………。
そう思って口を震わせる私を見下ろし、男は馬鹿にしたような顔でさらに深く覗き込んできた。
「アホラシー」
カチン、と何かが鳴った。
同時に半端なく悲しくなった。
「────ふざ、けんなっ………」
お前がそんなこと……言うな………。

