意味が分からないというような顔をする私に見て、またクスリと笑った男はポケットから煙草のケースを出し、一本咥えると手早く火をつけた。
程なくしてフゥ、と吐き出されたそれは、もろに私へとかかってくるのだから気分は悪くなる一方。
やけに企みのある顔。
コイツは、何が目的で……。
「…なんなの」
「何って?」
「"G.G"でも、"宇喜多"でも潰したいわけ?」
「……」
自分でも驚くほどに低い声だった。
分かりやすいように私の上に影ができ、伏し目がちに見下ろしてくる男からまた濁った煙が吐き出される。
だだっ広い空間の一角、その中心でただ二人だけが"置かれている"ような、そんな漠然とした違和感。
二十手前くらいの年齢だろうと思われる、まだ若さが感じられるその顔からはやはり、静かでかつ強い執着のようなものが感じ取られて。
────クスリ、とまた笑う。
吸殻がポロポロと落ちてきた。
「……いーや?」
そしてまた、私は──目を見開くことになる。

