────薄暗い。
ポタ、ポタ、と落ちる水滴の音。
うざったい煙草の香りが鼻につく。
冷たいアスファルトの感触とともに、ほんの僅かな頭痛をも交えながら、大きな歪みを帯びた視界が徐々に焦点を合わせていった。
重い瞼を上に向かせる。
簡素な蛍光灯が付いたり消えたりを繰り返し、少し先の地面には血痕らしい大きなシミのようなものがこびり付いているのが分かる。
湿気混じりの、ヤニばんだ匂い。
天井も黄色くくすみ、所々ゴミのようなものが落ちていて思い切り気分を害してくる。
……ここは、何。
アスファルトの地面に頬を寄せて寝転んでいる私は、両手両足を拘束するものはなかったけれど、嗅がせられた薬の副作用か、かなりの怠さで思うように身体が動かなかった。
騒いでも無駄な、管理の行き届いた場所にあるらしいってのは、私の口が塞がれていないことから容易に分かって。
────もう一度見回す。
本当に荒れ果てた監獄のような場所だった。

