BLADE BEAST

ポソリとそう呟いて、またクルクルと髪を弄り始める眞紘。

心は相変わらず掴めない。まぁ、掴みたいとも思わないんだけど。

ハラリ、ハラリとまたページがめくられる音だけが聞こえてくる。

甘いホワイトムスクの香りが身体に染み込んでしまうのではないかというほどに、強く香る。




それ以上の何をするわけでもなく、

何を考えているのか分かるわけもなく、

この気まぐれ男は私の髪を気に入ったようだ。






────ハラリ。

ページを捲る。




どれぐらい経ったのか。

ふと、まだ何も口を開くことなく触り続けている眞紘の存在を思い出した。

私からすればまだやってたのかレベル。



……そんなに触ってて飽きないものなのか、と一度視線を其方に向ければ──バチリと、眞紘のそれとぶつかって。

モデルのような色素の薄い顔立ちがまた何を思ったのか近づいてくる。