BLADE BEAST

本心なのか本心じゃないのか、それすらも図れないこの男。

急に褒めたくなったのか、それともやっぱり興味はないのか…大して抑揚のない声がそれを物語る。


「あっそ」


だから適当にあしらった。

絶えず弄られる毛先のことは放置したまま、私は小説へと目を向けて。

だけど向こうの視線が途切れることはなかった。



「……冷めてんな」




ポツリ、と。

眞紘は美織のような台詞を吐いていた。

黙ったままもう一度見つめる私に、眞紘も涼しげな顔で此方を見てくる。

コイツはあまりに極端だ。

学校のように殆ど目も合わさない赤の他人的な関係を築いていると思えば、倉庫では偶にこうやって死ぬほど視線を逸らさなかったりするのだから。



「普通、女なら喜ぶんじゃねぇの?」

「…何。喜ばせたいわけ?」

「別に?」

「…」




「言いたかったから、言っただけ」



じゃあそんなこと聞くな。……そう思った。

言ってることとやってることが違いすぎて意味分からない。

自分が言いたかったから言ったのなら、別に私がどう反応しようと関係ないんでしょ?

……と、そんな考えは、



「…変な女」



また迷路に投げ込まれることになる。