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────それから、数十分ほどで溜まり場に辿り着いた私と眞紘は、晄がいるんだろう場所へと脇目を向けることなく真っ直ぐに突き進んでいた。
握っている手の力がより強まった気がするのは、眞紘の意思と比例している証拠なのかもしれない。
それと、眞紘は覚えてたんだろうか。
私が星を好きになったきっかけは、実は眞紘にあったんだってことを。
私からそれを直接言うことはなかったけれど、眞紘はあの日私が言ったこと自体も覚えてくれていたんだろうか。
晄の時の気持ちと、眞紘への気持ちは全く違う。
同じ"好き"なようで、実はこんなにも違う。
ずっと晄のことは"好き"なんだと思ってた。いや、"ちゃんと"好きなのだと、言い聞かせていたにすぎなくて。
確かに幸せだと思った。
愛されてる感覚は伝わってきたし、その時だけは大事にしてくれるって…でも、その半面ずっと何かがぽっかりと抜けているような気がしていたんだ。
何か重要な部分がなかった。
それに気付かないようにと蓋をしていたのは、当時晄は、唯一私を愛してくれていた人間だったから。
親は不仲。家はすっからかん。友達だっていらないってつっぱねっていた私を、晄はその時だけはちゃんと愛をくれていたから。

