…私はよく冷めていると言われることがある。
主に美織からであるけれど、こうやって問いかけられた時にそう言えばそうだと思ってしまう部分がある。
普通だったら胸を高鳴らせるのかもしれない。
普通だったら後ろめたい気持ちってやつも生じるのかもしれない。
けれど、私は異質だから。
「…勝手にしなよ」
スクールバッグの中に入れてあった小説を手に取り始めた。
変わらずにこっちを見たまま髪を弄る眞紘と、それに構わずに読書をし始める私という変な状態が出来上がる。
ペラ。
ペラ。
ページがめくられてゆく音だけが聞こえてくる静かな室内。
変わらずに興味があるのかないのか分からない眞紘の瞳が向けられているとしても、もう気にしないことに決めたから。
けれど、
「莉央」
眞紘は何を思ったのか私の名を呼んできた。
──ポツリ、と吐かれたそれ。
──空気にすぐ溶けたそれ。
ゆっくり瞳を上げれば、頬杖をついて此方を見てくるヤツの整った顔があった。
主に美織からであるけれど、こうやって問いかけられた時にそう言えばそうだと思ってしまう部分がある。
普通だったら胸を高鳴らせるのかもしれない。
普通だったら後ろめたい気持ちってやつも生じるのかもしれない。
けれど、私は異質だから。
「…勝手にしなよ」
スクールバッグの中に入れてあった小説を手に取り始めた。
変わらずにこっちを見たまま髪を弄る眞紘と、それに構わずに読書をし始める私という変な状態が出来上がる。
ペラ。
ペラ。
ページがめくられてゆく音だけが聞こえてくる静かな室内。
変わらずに興味があるのかないのか分からない眞紘の瞳が向けられているとしても、もう気にしないことに決めたから。
けれど、
「莉央」
眞紘は何を思ったのか私の名を呼んできた。
──ポツリ、と吐かれたそれ。
──空気にすぐ溶けたそれ。
ゆっくり瞳を上げれば、頬杖をついて此方を見てくるヤツの整った顔があった。

